死の教徒、「スケンドル」 SF小説 : 著 岩倉義人

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1 犯罪的生物の研究

 去る、光暦794年、3月26日にクーネミュール学(犯罪的生物に関する研究を行う)の復興を記念して、クーネミュール学者ミセクレイト・ダラッキの講演が行われた。場所は光量子の教徒の第一神殿においてだった。
 彼は呪われしクーネミュール学者ヨーカラインダー・ヘッザについて語った。彼がかつて行った恐ろしい行動によって、クーネミュール学そのものが禁止されるのにいたった。
 簡単にいうなら、ヨーカラインダーは犯罪的生物を調べるうちに自分自身が「犯罪生物」に成り下がってしまったのだ。
 しかしながら、それも十年も前のことだった。彼は自ら光量子の兵隊の所へ十年前に出頭し、やっと先月、死刑が執行されたのだった。彼は光量子の炉の中で焼かれた。
 それにより、やっとクーネミュール学の再開が許されたのだ。
 それは何より光量子の神官たちが犯罪的生物への研究を必要としていることを証明する証拠と言えるのではないだろうか。

 では、クーネミュール学とは何を指しているのだろう。それは存在するだけで犯罪的であるという、呪われた生物の直接的研究、および、その定義を規定しようとするものだった。
 生まれながらにして犯罪的な生き物、そんなものがあり得るのだろうか。
 そんなものは絶対にあり得ない。そう良識にあふれる人なら、言うに違いない。
 しかし、それも「スケンドル教徒」を知るまでの話だ。
 彼らの姿を今見たいと思ってもそれは適わぬ願いだ。それはとても残念なことだが、彼らの姿を想像することだけは許されている。

ダラッキが分析した細切れの幻のような彼らの姿より、ヨーカラインダーの目から見た彼らの事を知るのが一番ではないだろうか。そういった理由から、ダラッキが隠し持っていた、ヨーカラインダーの日記をそのままいくらか引用してみようと思う。

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