詩集:著 岩倉義人

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「花を食べる蛇・タリム」

必ずという名の実を食べ、
タリムという名の蛇を煮殺して、
私は赤い光を着た。

暖かさを感じさせる
陽炎の中に座り込んで、待っていた。
光の衣が溶けるのを。

アマラという名の銃が私の右の乳首を貫くだろう。
その時に滴り落る血は誰の目にも見えない。

しかし、その血は甘い香りの赤い花の色を透明に変えてしまうだろう。
透明な花。

その花は目に見えないということに守られて、
踏みにじられる事なく
咲き続けるかもしれない。

タリムという名前の蛇は何時も花ばかり食べていた。
私は蛇のくせにと言って、何時も彼の事を笑った。
その彼を私が今日、食べることになるなんて思ってもみなかった。

私はタリムの死体ではなく、花の死体を食べたのだ。
私は彼が今までに食べた、何千枚もの花びらの数を、胃袋の中で数えた。
静かに、声を出さないようにして。

タリムが食べようとしていたのは、
本当は花なんかではなく、
この私を食べたいと思っていたのだ。

そのまだら色した蛇はいつもそんな目付きをして私の事を見ていた。
彼は何時も私の事を殺したいと思っていたのだ。

だから
私はタリムのお腹のやわらかなところを
そっと爪で切り裂いて
彼の胃袋の中を調べた。

彼の胃袋の中にはやっぱり何千枚もの花びらが詰っていた。
私はその甘い香りのする
赤や黄色の光の塊を
一枚ずつ剥していくと、
口に運んだ。

それは思っていたよりも苦い味だった。
私は甘いキャンディーの味を想像していたのに、違っていた。

花びらは私の胃袋の中で、尖った刃物になって、私の心臓を優しく切り刻んでいった。
私はタリムに光の赤い衣を与えたのだ。

私のスポンジの様にすかすかになった魂を引き替えにして。
でも、私はタリムのおかげで、毒の花の本当の苦さを知ることができた。

それで十分釣り合いが取れているといえるのではないだろうか。

花を食べる蛇・タリム
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