詩集:著 岩倉義人

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「死のキスをして、」

死のキスをして、
あなたの中の角砂糖は砂になる

23億年前に出来た氷の層の中に
枯れ落ちた落ち葉と
結婚した
青い、青酸カリは、
待っていた

見つからない、
みじん切りにされた、
過激さに彩られた、
焼け焦げた
鉄道のハンドル

見えている、
"LO"と書き込まれた、
小さな毛むくじゃらの死骸

血管はもう必要ない
あとは
縫い合わせるだけだ

そうすれば報われる
23羽の小鳥たちの死

親指よりも小さな
卵の殻の中に
ねっとりとした
氷水を閉じ込め
それを、
座薬の中に隠した
あの男を騙すために

カチリと
金属を擦り合わせる音がして
声がした

「かまわないで!
 私は、
 影を、
 氷漬けにして
 あなたを、
 遠ざけようとしている。」

集まってくるのはカラスの子供達ばかりだった

遊ぶ声は今日はしない

死のキス
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