詩集:著 岩倉義人

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「レモンの香り」

私という名の扉をもって
あからさまな回廊を閉じようと思う

隠された乾いた
縦じまの羽根

カチッとなった
小鳥たちの接吻
硬いくちばしが
ぶつかり合って
真夜中に
そんな音がしていた

憎まれて産まれた
死の卵たち

殻の中には
半宇宙が映し出されている

片方は茶色
片方はレモン色

レモン色と
いう名の
静かな束縛が
魂の中に
沈んでいく

あたたかな
言葉がかけられ
形の無い苦しみが
閉じ込められていく

赤くそして
まだらになった
叫び声を従えて

見つけられた子供達
それぞれの手に
握りつぶされた
レモンをつかんでいた

地面にしたたるレモンの汁

それを舐めあう子供達

子供達の舌はとてもきれいな
ピンク色をしていた

あからさまに握られた手
見詰め合う眼差し

私はそれを
捕まえて
地面に埋めようと思った

そこからは
レモンの香りが今も
しているだろう

レモン:黄色で楕円形の果物

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