詩集:著 岩倉義人

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「蝶の風」

蝶の風
死の風
生臭いSTB火薬の香り、

きらめく、角膜の中に
閉じ込められた風景を
爆破するためだけに
作られた、
あなたの瞳は
確かに
今は
私の頭蓋骨の中に
納まっています。

蝶の風、
手を触れると、
私の思い出を
火薬に変え、
静かに
髪の毛が焦げる香りがした

月の風、
鉄の香り、
私の中の風景には
今も、
蝶の風が縛り付けられている

爪の間に刺さってしまった
荊の棘、
歯でかんで抜くと
赤い音

蝶の風、
あなたの
水晶の弾丸を
使って
私の
偽りの風景を
破壊してください

そうすれば
赤い音が聞こえる
でしょう

私は
必ず、
見詰めています
その瞬間を

蝶の風
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