水の国の姫 SFファンタジー小説 : 著 岩倉義人

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4章 2 波打ち際の繭

 かなりの長い時間フレイシーは気を失っていた。それからやっと気がついて目を開けると、まだペガサスの背中に乗ったままだった。下を見ると見たこともないような量の水がごうごうと音を立てて流れていた。水の表面には真っ黒くて巨大な渦巻きがいくつも出来ていてそこに投げ出されたらすぐに楽になるのにとフレイシーはおぼろげな意識の中で考えていた。
 それからまたしばらくの間うつらうつらしてから目を覚ますと、いつの間にか彼女をがんじがらめにしていた白い蛇はペガサスの首の方に移動して巻き付いていた。深い海の上では彼女が逃げる事なんて出来ないのが蛇にも分かっていたのだろう。
 フレイシーが蛇の方を見ているのに気づいたのか、その蛇は少しの間振り返って彼女の方を見た。自分が途方もないスピードで水の上を飛んでいるのに全く気にならないようすでむしろ楽しんでいるように見えた。
「フン、良いわ。あなたたちの連れて行きたいところにどこでも行くわよ。だからそんなふうににらんでいなくも良いじゃない」
 そうフレイシーが言うと言葉が分かったのか、蛇は少し頷いてまた前の方を見た。これからペガサスの飛んでいく方向に自分たちの待ち望んでいる物があることを確信しているようなそぶりだった。フレイシーは薄い部屋着のまま薄暗い空を飛んでいるのだったが不思議と寒さは感じなかった。彼女はとんでもない状況にいるのになんだか笑い出したくなった。恐怖の感情は知らないうちに忘れてしまっていた。こんなふうな恐ろしい海の上でも、その上体にぶつかってくる風が刃のように鋭くても、それが返ってゆかいな感じさえしてきたのだった。彼女はまた蛇に話しかけた。
「ねえ、あなたたちはどこから来たの? やっぱりそこは怖いところなんだろうか? でもそこはきっと私が住んでるところよりもきっとずっとましよ。ウフフ」
 その声を聞いて蛇はびっくりしてまたこちらを振り返ってきた。たぶんあまりにもおかしい状況におかれていたから気でも狂ったのかもと疑っているらしかった。「それならそれで良いかも」とフレイシーはまた笑った。
 それからまたかなりの時間がたった後だった。フレイシーはまた眠くなってしまったけど、頭を振って眠気を覚ました。今はもう蛇が自分のことを捕まえていてくれないのだから眠ったらすぐに海に落ちてしまうだろう。だからフレイシーは眠ってはだめだと自分に言い聞かせた。
 薄暗かった雲の向こう側に雲の切れ目が見え始めていた。そこには氷のような空が鈍くグレーに光っていた。そしてその光の中からこちらに向かってくる何か小さな物が見えた。
「あれは何?」フレイシーは蛇に聞いてみたが今度は蛇はこちらを向かなかった。彼にとってもそれは興味をひかれる物なのだろう。その光る点はだんだん大きくなってくるとやっとはっきり姿が見えてきた。それは自分の乗っているのと同じようなペガサスだった。だけどそれは不気味に銀色に光っていて何か恐ろしい違う物が感じられてフレイシーは身震いした。
 フレイシーの乗っていた馬は全く躊躇せずその馬の方に真っ直ぐ飛んで行った。その真向かいにいる銀色の馬もものすごい勢いでこちらに向かって突き進んでいた。このままだとぶつかってしまうかも。でもそんなはずないか、バカじゃないんだし、ぶつかる前にきっと止まるはず。その馬はフレイシーの乗っている馬と蛇を向かえにきたのかも。そうフレイシーはぼんやり考えていた。
 だけどもそんなふうに考えているほんのすこしの間に馬はすぐ近くに迫っていた。そうするとやっと馬の顔がはっきり見えた。その銀色に光る馬の目はたった一つしかなかった。その目は彼の額に開いていてそこから静かに緑色の光が漏れだしていた。「なんだか海の上の灯台みたい。私たちを危険から救うために彼はやってきてくれたのかしら」フレイシーは手を伸ばすと自分の乗っている白いペガサスの首にそっと触れた。
 その瞬間、馬はそれを嫌うようにぶるっと体を震わせた。そして馬は少しだけ首を傾けてフレイシーのことを見たのだった。彼の目は少しだけ潤んでいて、その表情はなぜか哀れんでいるように見えた。それともこれから起こることがきっと分かっていたのかもしれない。その馬にとってはただ、しなければいけないことをしているだけなのだろう。
 白い馬はまた正面を向くと今度はもっとスピードを上げて力強く羽ばたいた。こちらに向かってくる馬も全く速度を弱める気配を見せなかった。そして二頭の馬は最後にはぶつかり合った。ものすごい衝撃が襲ってくると思ってフレイシーは首を縮こませた。もしかしてぶつかる前に海に飛び降りた方がまだましだったんじゃとも思えたけど全てはもう遅かった。
 その一つ目の恐ろしい馬がぶつかった瞬間、フレイシーの体ははじけ飛んでしまった。そして海に向かって落ちていった。だけど不思議なことに普通にすごい早さで自由落下するのではなくふわふわ飛んでいるみたいな感じだった。
 ぶつかった痛みもなくてその瞬間は銀色の馬が光になって自分の体が通り過ぎていったのだった。それだけだったら良かったのに白いペガサスの体は銀色の一つ目の馬に吸収されるようにして掻き消えてしまったのだった。
 そのせいでフレイシーは宙に浮く羽目になり、海に落ちていくしかなかった。だけど、海に落ちる瞬間を感じなかったのは幸運だった。自分たち砂の国の人が姫の血の混じっていない水に落ちた時に何が起こるかを彼女は知らなかったからだ。
 フレイシーの頭の中に長い空白の時間が流れた。そのあと意外なことに彼女は生きたまま目を覚ました。確かにその恐ろしい瞬間を彼女は迎えたはずなのにフレイシーは砂浜の上で目をゆっくり開けたのだった。彼女の目には冷たいくぐもった色の空が映っていた。「どうして? 私はもう死んだと思ったのに」口の中に不快な灰色の砂の味を感じながら彼女は呟いた。「そうだこれはまだ夢の中、つまりあの剣の見せている幻覚の中に私はいるんだ。もしそうだったとしたら、早くあなたの目的を見せてよ! 私はもう耐えられない!」
 そういつの間にか叫んでいた。のどはガラガラして激しく痛んだ。彼女の着ているクリーム色の部屋着も今はぼろぼろになってしまっていた。だけど彼女がそう叫ぶとそれが夢を見せている者に聞こえたのかもしれない。あたりの様子が変わった。
 さっきまでは霧に包まれたようになっていてほとんど何も見えなかったのに、そう叫ぶと同時にその霧はどこかに消えてしまっていた。彼女のいる海岸線はどこまでも続いているみたいだった。
 そしてフレイシーはずっと遠くの波打ち際に白くてふわふわした玉のような物を見つけたのだった。それをじっと見ているうちに彼女はなぜかそこに行きたくなった。多分それを彼女に夢を見せている者は強く望んでいるのだろう。
「いいわ。行ってやる」だけどあそこに行けば何か途方もない恐ろしい物を見せられる感じがした。でもそれが奴らの目的だったのだから従うしかないようだった。
 少なくともこの夢の中では。その彼女のいる海岸では風がだんだん強くなってきていた。知らないうちに雲のほとんどは吹き飛んでしまっていたけど、空は灰色ですりガラスを通して見たような光が降り注いでいた。それは静かで平和な世界を思わせる光だった。実際はそんな世界ではないのに。
「ああ、こんな事ならあの錆びた剣に触れなければ良かった。そうしたら今頃はあの退屈ないつもの世界でのんびりコーヒーでも飲んでいたのに違いないのに」そんなふうに呟きながらフレイシーは裸足の足を冷たい海の水に浸しながら歩いて行った。始めはその白い玉はちっぽけな点みたいに見えていたけど、近づくにつれそれが自分の背丈の二倍ほどもある大きな毛玉であることが分かってきた。
「なんてかわいい毛玉なんだろう。あの中に入ってみたいな」その中に入って眠れたらすごく気持ちよさそうだったので、フレイシーはその毛玉の表面に触れた。すると彼女の膝のあたりにちょうど良い穴が開いているのに気がついた。「うーん、なんて気が利いてるんだろう。多分ベッドルームへの出入り口なのかも」彼女は四つん這いになってその穴をくぐり抜けた。
 毛玉の中は真っ暗かと思ったけど外の太陽の光がわずかに壁を通して差し込んでいたのでほのかに明るくなっていた。案の定、白い毛玉の中は小さな部屋のようになっていた。「やっとあったかいところに来た」フレイシーはすごく疲れてフラフラになっていたので布団のようになっている床の上に寝転ぶとすぐにかすかに寝息を立て始めた。
「ああ、夢の中で眠るのってなんて気持ちが良いんだろう」そう無意識のうちに呟いていた。
 だけど少し意外なことが起こった。それに答える声がどこからかしたのだ。
「いいえ、ここは夢の中じゃない。あなたの目は覚めているのよ。しっかりして、フレイシー」彼女は驚いて上半身を起こした。「誰か別の人がここにいる。それにどうして私の名前を知ってるんだろう」
 それはさっきまでいた白い蛇でないことはすぐに分かった。いくら彼女でも蛇がもししゃべったとしたらそんな声であるはずはないのが分かっていたからだ。それは小さな女の子のような声だった。
 それからかすかな明かりの中をまさぐって声の主を探した。たぶんあの白い綿の中に埋もれてしまっているのだろう。そうやって探すうち何か冷たい固まりにたどり着いた。急いで白い綿をどけるとそれは人間の手であることが分かった。
 どうしてこんなふうに、ここにあるんだろうか。それはきっと恐ろしいことに違いない。そういう言葉が頭の中に浮かんできているのにも関わらずフレイシーはそれを掘り出したいという欲求に逆らうことが出来なかった。
「小さな小さな女の子の手。きっとそうに違いない。彼女はずっと雪の中に閉じ込められていて、ずっと私を待っていたの」
 ふわふわした綿は雪にそっくりだけど別に冷たくはなかった。だけどもその綿は触れるうちに不思議な感覚を感じさせた。なんだか全ての感覚が痺れて何も感じなくなってくるような感じだった。「そうか。この綿の中にいたら多分、きっと死んじゃうわ。早くこの子を助け出してあげないと」
 現れ始めた手のひらを伝って掘り出していくとだんだん女の子の手に体温が戻ってくるようだった。たまにフレイシーはその子の手を握りしめて自分の体温で暖めてあげていた。そんなふうにしてもほとんど変わらなかったかもしれないけど、彼女はそうしたかったのだ。
 そうやって掘っていくうちにやっとその子の顔が出てきた。その顔は青ざめて真っ白だったし、驚いたことに髪の毛も白かった。こんな風な髪の毛の色の子がいるなんてフレイシーは見るのは初めてだったけど、気味が悪いとは思わなかった。むしろその長い髪はとてもきれいな色だと思った。
 そうやってなでているとその子は突然目をパチリと開いた。瞳の色は暗く沈んだ青い色をしていたが意識を取り戻すにつれだんだんと薄い紫色に変わってきた。そしてその女の子は口を開いた。
「どうしてこんなことをしたの?」
 フレイシーは早く何か言わなくちゃと自分を急かしたが、なんと言って良いか分からなかった。誰かを助けようとすることが間違っているというふうに非難されるとは思っていなかったからだ。しかも助けた本人から。
「ごめんね。あなたを助けなきゃと思ったから」いつの間にかフレイシーは女の子の手を握りしめていたのだが急いでその手を放した。女の子はそんなことにも全く気がつかない様子でまた話し出した。
「そう、あなたが助けようとすることは私には分かっていた。だって私が剣を通してペガサスと蛇を使わしてあなたを呼んだのだもの。だけど、絶対そのためにだけに私はあなたを呼んだんだじゃない。それだけは分かって欲しいの」
 フレイシーはまた当惑したが小さくうなづいた。
「私の体を見て」
 女の子が上半身を起こすと体の全部がやっと綿の中から出てきた。なぜかその子はその中から生まれ出たような感じに見えて、奇妙な感じがした。彼女はもしかして生まれてからずっとそこにいたんじゃないだろうか。そう思っていると、女の子は自分の胸の真ん中のくぼんだところを指さした。そこには小さなひっかき傷が出来ていてそこから少しずつ血が染み出していた。
「大変、早く血を止めなきゃ」
 フレイシーは急いでその傷に触れようとしたが女の子は急いでそれを止めた。
「触らないで! あなたはこの傷に触れてはいけないの!」フレイシーは伸ばした手を下ろしてゆっくりと地面に散らばっている綿に触れた。それからその綿を手のひらに乗せて空中に浮かべてみたりしてみた。どうしてかフレイシーの頭の中は痺れてきて色々なことを考えることができなくなってきていたのだ。だからそんなふうにして小さい子供みたいに遊び始めたのかもしれない。
「そう、そんなふうに遊んでいればいいの。あなたに出来る役割はそれぐらいしかない。でもこの夢の中でこれだけは覚えていて、私を傷つけて逃げた者は今までずっとここにいて私と生き続けてきた。だけどそれが嫌になったから、私を裏切ったのよ。それを伝えるために私はあなたを呼んだの。あなたがホンセ・リーラーと友達だから」
 その名前を聞いてフレイシーはびっくりして彼女の方を振り返った。なんだっけその名前は? なんだかなつかしけど、悲しいようなうれしいような変な名前だ。そういうふうに不思議に思いながらまだ綿をいじくって何も言わずに遊び続けていた。その様子を少しうれしそうに眺めながら女の子はしゃべった。
「そうやってここにいた子も遊んでいたの。あなたと逃げていった子は似ているのかも。その子とあなたはきっとこれから会うことになる」
 女の子は遊んでいるフレイシーの手をつかんで綿を投げるのをやめさせた。
「この綿は麻痺の綿っていうの、これを使って奴らは私たちを閉じ込めていた。あの子がここから去った時は私にとってもここから出ることを決心する時でもあったの。さあ、あなたもここから出るのよ、今すぐに」
 フレイシーはおびえて女の子の方を見下ろした。その子は彼女の背丈の半分もなかったけど自分よりもずっと大人に見えた。彼女はいつのまにか叫んでいた。「大人はいつも命令してくる! 自分たちは地下に隠れて、幽霊みたいにフォログラフィーを使って近づいてくる。あいつらは本当に生きているといえるの?」
「大丈夫よ。心配しなくても。出る時私が付いていてあげるから」そう言うと女の子はフレイシーの手を固く握り直してから綿の部屋に開いている小さな出入り口から先に出た。フレイシーはまだそこにいたかったけど、外から突き出された女の子の手が自分の手をがっちりと握っていたから逃げられそうもなかった。
「分かったわよ。出ればいいんでしょ。この、分からず屋!」
 彼女はまたひざまづいて外に這い出した。外では恐ろしい風の音がしていて、知らないうちに明るい昼間になっていた。太陽の光はまぶしすぎてしばらく何も見えなかったけど目が慣れてくるのにつれてすぐ近くの海岸に白くて大きな船が止まっているのが見えてきた。いつの間にか女の子の姿は消えていた。
「あの船に乗って女の子は出かけるんだろう。たぶん船は迎えに来たんだ。あの子がこれから行くところは多分きっと怖いところなんだ。だけどもう私にはあの子を助ける事なんて出来ないんだ」
 そう呟くとフレイシーは自分だけその海岸に取り残されるかもしれないということに気づいて急いで船の方に走った。だけど船の方でもそれに気がついたのか、船は海岸を離れて沖に向かいだした。どんどん離れていく船の甲板の上に女の子がいて静かにこちらを見つめているのが見えていた。真っ白な髪の毛が風に吹き飛ばされそうになびいていた。そしてますます強くなっていく太陽の白い光の中でその子の姿がとろけていって最後には光と見分けが付かなくなってしまった。
「さあ、あの子は行ってしまった。私ももう帰らなきゃ。そうホンセ・リーラーの所へ」その言葉を呟いてやっとその言葉が意味する者を思い出した。歩き出してから振り返るとさらに波は強まってもぬけの空になった綿の部屋を静かに押し流しているところだった。もうしばらくしたらその小さな固まりは海の底に引きずり込まれていってしまうだろう。それがきっとその部屋のあった元々の場所なのだから。
 そんなふうに夢を見続けていられたらフレイシーは幸せだったのかもしれない。だけど彼女の体を激しく揺さぶる手があった。その手から出てくる力は彼女の魂の奥底に入り込んで来た。そして彼女を激しい声で呼んだ。
「おい! フレイシー・アングロード! いつまで夢を見ている気だ。私が助けに来てやったぞ! それともこのまま奴らの仲間にでもなるつもりか?」
 フレイシーは自分の心の中に無神経に入り込んで来た嫌らしい火の力に吐き気がして薄目を開けた。そこに見えている姿はなんだか見覚えがあった。それはあの殺されたミーレが死ぬ間際に送ってきたぼやけた姿にそっくりだった。それは真っ暗な火に包まれていてそこからのばされた二本の手は自分の首を絞め殺そうと迫ってきていた。
 彼女はそれを嫌がって肩を揺すってふりほどこうとした。だけどその時彼女のコンピューターから声がしたのだ。「大丈夫だよ、フレイシー。奴らはもうここから追い払われた。それに赤い使者も君を殺しにきたんじゃない。少なくとも今は」その声はホンセ・リーラーの声だった。
 フレイシーは口を開いてその声に答えようとしたけど何の音もでなかった。赤い使者の幻の炎が口の中に入り込んで肺まで達したからだった。
「私もミーレみたいにつぶされて死ぬのかも。だったらその前にこいつになにかしてやらなきゃ。そうしないと気が済まないわ」そう薄れる意識の中でフレイシーはぼろぼろになった部屋着のポケットをまさぐった。ポケットの中にはあの綿の部屋の中にあった白い綿が一掴みだけ入っていた。
「ああ、あれは夢の中だったのにつれてちゃったんだ。ごめんね。だったら早く元の所に返してあげるね」
 彼女はその綿を赤い使者の炎の中に放した。ふわりと解き放たれた白い綿は一瞬でジュッという音も立てる前に消えてしまった。
 だけどその効果はてき面だった。炎の使者は麻痺の綿が投げ込まれた瞬間に不気味な叫び声を上げるとどこかに開いた暗い穴に引き込まれるように姿を消した。
「そんなことをして済むと思ってるのか? 砂の姫がこのことを知ったらどんなに苦しむだろうか…」そういう鐘を叩いたような声が消えていく間、彼女は黙って待っていた。ホンセ・リーラーが自分のことをよくやったとほめてくれる瞬間を。
 だけどその時が訪れる前に彼女は力尽きて倒れてしまっていた。床には魔法の剣が転がっていたけどまた鞘がかぶせられていた。だからその剣はただの錆びた剣のように見えていた。

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