宝石爆弾 怪奇小説 : 著 岩倉義人

 戦時中の風変わりな小鳥屋のおしゃべり。
 彼は自分の隠された副業について語った。  

「私はこれから自爆攻撃をしにいく、小鳥たちの背中に世界一小さな爆弾を一つずつしっかりと絹の糸で結わえ付けました。
 彼女たちは爆弾の表面がきれいなメノウ色に光っていたものですから、貴重な宝石とでも間違ってしまったのでしょう。

 どの一羽とて結わえ付けられるのをいやがった鳥はいませんでした。
 私はつるつるとした爆弾に一つずつ静かに口付けをし、これから消えていく彼女たちの羽根のくぐもった最後の香りを吸える限り吸って、いつまでもその香りを覚えておこうと心に決めたのでした。
 それだけでも彼女たちは十分報われるでしょう。
 
 旅立って行った小鳥たちはそれぞれ一番大好きなオス鳥に近づくと、見せびらかそうとでもしたのでしょう。自分の背中にあるきれいなメノウ色をした宝石をコツコツコツと三度つつきました。
 けれど、オス鳥たちはそんなものの魅力など鼻から認めていませんでしたから、しばらく首をかしげていましが、まもなくその首は胴から千切れてどこかに飛んでいってしまいましたとさ。
 彼女たちの背中の小さな爆弾が卵の殻を割るようにして、その力を産み出したのです。

 そんな小さな花火を私は遠くから見て、今日も悲しみの嗚咽を胸いっぱいに噛み殺し、新しい爆弾を詰めるための殻を作っているのです。」

宝石爆弾 終わり

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